予防歯科は歯科治療の理想形です。
予防歯科とは、健康な状態も含めて、歯や歯周組織が破壊される前の段階での対応です。
病気を治すことの主役は患者さま自身です。 日々の自己管理をしっかりしてもらうことによって、患者さま自身が持つ自然治癒力で初期段階の歯科疾患を治していくのです。 我々歯科医師の役割は、自然治癒力をいかに導き出すか、そのお手伝いをさせていただくことです。 一方、一般的な歯科治療では、すでに破壊された歯や歯周組織が対象で、むし歯に対しては歯を削って代わりのものに置き換える治療、歯周病に対しては歯周ポケット(歯と歯肉との間の溝)に対しての外科的な処置を私たち歯科医師が行います。 これらは見た目を綺麗にして再発も防止するよう最善を尽くしますが、破壊される前の全く健康な状態に戻るわけではありません。あくまでも健康な状態に近づけるのが歯科治療です。 予防歯科では「悪くなる前にしっかり管理して健康な自然な状態を保つ」こと。 つまり、歯科治療での理想を突き詰めたものが予防歯科です。 具体的にはどのように予防するの?
◆むし歯の場合
むし歯や歯周病はできるだけ早期の治療が必要ですが、初期段階のものは、どちらも体が本来持っている自然治癒力で治すことができます。初期のむし歯では、歯の表面にむし歯菌を含む歯垢が付着することから始まります。 むし歯菌が糖を分解することによってできる酸が表面のエナメル質を溶かし始めます。 しかし、エナメル質が一部溶かされた段階で、歯垢をきれいに除去すると、そこで進行は止まり、溶かされたエナメル質も唾液中からカルシウムが供給されて修復されて(再石灰化)、自然治癒へと向かいます。 ◆歯周病の場合
歯周病も初期段階では、歯石や歯垢が付着していても炎症の程度はごく僅かです。しかし、歯石が付いたままではブラッシングの効果は十分に期待できず、歯石を除去することによって自己管理できるようになれば自然治癒へと向かいます。 本来毎日のブラッシングで除去する歯垢も、長期間付着するうちに段々除去が困難になります。 効果的に自然治癒力を導くため、普段のブラッシングだけで自己管理できることを目的に、当院では、機械的歯面清掃(PMTC)を行って歯垢の付いていない歯面を再現します。 ◆あなたのお口に合った、正しいブラッシング方法を!
歯ブラシを当てる角度の微妙な違いや、動かし方によって、磨けているか磨けていないかに大きな差が出てきます。どこにどのような問題があるか、患者さま自身が気付いていないことが大半です。 患者さまそれぞれで問題点が異なりますので、まずは問題点を一緒に探すことからお手伝いさせていただきたく思います。 また、歯磨き粉やブラシの選び方・使い方には注意が必要です。 歯磨き粉には研磨剤が含まれていますので、量が多いと歯が磨り減ってしまいます。 実は、歯磨き粉は歯磨き1回あたり、米粒1~2個分ぐらいの量で十分なのです。 「えっ、そんなんでいいの?」「それは経済的だわ!」といった感想をよく耳にします。 予防のための定期検診
むし歯や歯周病の予防のためには、歯科医院での定期検診がとても大切です。
定期健診では、口腔内のチェックを行いながら、PMTC(歯のクリーニング)で歯の表面・歯と歯の間をお手入れします。 さらに、頑固な着色(ステイン)にはパウダー(炭酸水素ナトリウムやアミノ酸の粒子)を吹き付けて歯面をクリーニングする「ハンディジェット」という最新の器械も導入しております。 むし歯や歯周病は、人それぞれでリスクの高さが異なります。 半年毎の検診でほぼ問題ない方もいらっしゃれば、少し期間をおくと次から次に新しいむし歯ができてしまう方もいらっしゃいます。 毎月のチェックが必要な方、3ヶ月おきぐらいでの確認が必要な方等、ケースバイケースですので、治療が終わる際に私から提案させていただきたく思います。 PMTCとは?
Professional Mechanical Tooth Cleaning(専門的機械歯面清掃)の略で普段のブラッシングだけでは除去しきれないバイオフィルムを破壊することで、さまざまな効果が期待できます。
◆きれいな歯を保つ、口臭を防ぐ
歯磨きをしても汚れが残っていたり、口臭がすることはありませんか。きれいな歯を保って、口臭を予防するように心がけましょう。 ◆歯周病や歯肉炎などの予防
ご自身では磨ききれない部分の歯垢を完全に除去し、歯肉の状態を健康にすることができます。 ◆むし歯になりにくい口の中になる
ご家庭での歯磨きだけでは除去できない歯垢を破壊し、自己管理しやすい状態を作り、新たなむし歯の発生や進行を予防することができます。 ◆歯質が強くなる
フッ化物入りペーストを用いて歯面清掃することで、歯の再石灰化を促進し、歯質を強化することができます。 ◆歯が美しくなる
タバコのヤニやコーヒー、お茶などの着色で歯が汚れていませんか。PMTCを行うことによって、光沢のある美しい歯を取り戻すことができます。 知覚過敏症とは?
歯の一番外側はエナメル質と呼ばれる丈夫な層で覆われており、通常は触れた時や冷温刺激が加わった時には、あまり敏感には感じないようになっています。
しかし、エナメル質のすぐ内側には象牙質と呼ばれる感覚が敏感な部分があります。 歯ぎしり等でエナメル質が磨り減って象牙質が露出したり、歯周病で歯肉が退縮して根元が露出すると、根の部分はもともとエナメル質で覆われていない部分なので、ちょっとした刺激でしみやすくなります。 さらに知覚過敏症状が強く出やすい原因としては以下のようなものがあります。 |